VRはローカル局の新たな商売になるのか?

11月2日、電通が主催するヴァーチャルリアリティ(以下VR)のビジネスプレゼンテーションに参加してきました。主に放送メディア向けということだったのですが、弊社も「ワイズ・メディア」ということでちゃっかり潜入。会場には月刊ニューメディアの吉井局長も来ていたので、会社名に“メディア”とついていればよろしかったのかも(笑)。

 

前の日にVRをビジネス化するための社内横断組織「電通VRプラス」を立ち上げたことを受けて、主にローカル局相手に「安価でコンテンツ制作できるし、スポンサーニーズもある。ソリューションは電通が提供するので是非トライしてみてください」という趣旨の説明会だったのですが、さすがは電通。ほぼ局関係者で数百人は集まり、1階の電通ホールは満席という盛況ぶりでした。

 

 

最初にプレゼンしたデジタルプラットフォームセンターの足立光さんによると、VRの次のフェーズは以下の4つがキーワードになるそうです。
1) Presence:存在感
2) VR Web:制作環境
3) Social Web:ヘッドマウントを超えたコミュニティ
4) VR for Good:VRのソーシャル化
この中で電通は拠点作りや、場の開発をするので、テレビ局は「観光」や「イベント」などをテーマに地域のVRコンテンツを作ってみませんかというお誘いです。

 

取り組みとの例として、新潟放送の「長岡花火」(観光連動ですね。すごい迫力)や北海道文化放送の「移動型どうぶつえん」(旭山動物園のVR映像を長期入院中の子どもたちに見せる社会貢献)を紹介していました。確かにそれぞれの地方には自然やお祭り、観光などネタはゴロゴロしているわけで、最近は素人でも撮れるようなVR機材も普及して、ローカル局の制作ノウハウがあれば地方創生にぴったりの動画コンテンツができますわね。

 

問題はこれをどうビジネス化していくかですが、これは電通が得意な分野なので、今回営業各局横断でクライアントを獲得するとのこと。今年のCEATECでも広島テレビのVRコンテンツ「バーチャルツアー」〜厳島神社とか地元の観光施設を紹介する360度映像〜がすごい注目を集めていて、確かに地方から全国、場合によっては世界に紹介するときのツールとして放送外収入を見込めそうです。

 

現時点ではOculusやPlayStation VRとか、ヘッドマウントをベースにしたゲーム、CGの世界ばかりが注目されているけれど、これだと3Dと同様、金と手間ばかりかかって、結局ハリウッド以外は儲からないと懸念していたのです。しかしブラウザベースでテレビやタブレット、サイネージなどに表現できるVRなら、今後ローカル局でもいけるのではと期待を持たせるプレゼンでした。

 

しかし、コンテンツを作るだけではテレビ局の本筋の事業には発展しません。ここは放送でVRが実現できるような規格作りが望まれます。来年1月のCES(全米家電ショー)では、VR Broadcastの規格制定に向けた動きがあるようですから、日本の放送業界としてもぜひ押さえておきたいところです。
考えてみればNOTTVは惜しいことをしました。対応スマホが1000万台普及していて、全国に向けて電波が発信されていたのです。当時社内でもVR放送の検討があったと聞いています。もうちょっと辛抱していれば、別な側面でビジネスが成立していたかもしれません。

 

まあ終わったことを言っても仕方ないので、これからはソリューションを提供する電通が、いかに辛抱強く継続するかにかかっています。「セカンドライフ」の時は電通が不動産仲介業みたいなことをやって、結局投資したコンテンツサイドが損をしました。「もっとTV」はあれだけ大言壮語して、わずか3年でサヨナラでした(いずれも私の現役時代です)。
今回ローカル局にやらせるだけやらせて、「儲からなかったからやめます。すみません」ということにならないよう、電通には赤字が続いても歯を食いしばって続けてもらいたいと願ってやまみません。未来への希望に向け、健闘を祈ります。